こんにちは。ホロです。
令和に入ってから、川崎登戸の児童大量殺傷事件や練馬の元事務次官による息子の殺害、そして京都アニメーション放火事件など、痛ましい事件がこの3ヶ月で発生しており、気分がすっきりしません。
今回はちょっと重い話になりますが、上記の事件に共通しそうな認知の歪みについてお話したいと思います。
※犯人は死亡したり話ができる状況ではなかったりですので、共通しているのかはあくまでも想定になります。
感情はどのように生まれるのか?
他人から何か言われたり、何かあったときに、生まれる感情はひとそれぞれです。
同じ言葉を言われても、その受け止め方はみな違います。
それは性格によるものだと思われがちですが、そのメカニズムは次のように考えられます。
出来事:人から言われたこと、出来事や経験
自動思考:出来事があったときに瞬間的に思い浮かぶ考えやイメージ。その人の持つ考え方のクセ
感情:自動思考にもとづいた感情・気持
行動:感情にもとづいて起こした行動
例えば、「いつも使っている電車が1分遅れた」という出来事(事実)があったとします。多くの人は1分遅れただけですので、特に何も思わないか仕方ないなぐらいの感情です。しかし、中には「1分遅れてる。どういうことだ!時間通り来ないじゃないか」という風に怒りの気持ちになる人もいます。
この違いは、自動思考=その人が無意識に考える「考え方のクセ」の違いによるものです。
「考え方のクセ」はどのように決まるのか?
では考え方のクセはどのように生まれるのでしょうか?
大きくは生まれ持った性格と幼少期(人格形成期)の回りの環境(一般的には親、兄弟、家庭環境)によって決まってきます。
ですので、人格形成期に歪んだ考えを家族から刷り込まれたり、虐待やいじめといった経験をすると、性格も相まって極端に歪んだ考え方のクセを持つようになります。
このような歪んだ考え方クセを「認知の歪み」と言います。
代表的な「認知の歪み」
①ゼロかイチか?
「全部できなかったから失敗」「時間までにできなかったので全部駄目」
②~すべきだ!普通そうするでしょ!
どんな場合でも決め付ける思考。
「みんなに好かれなきゃ駄目」「人を怒らせてはいけない」
③マイナス思考
うまくいっても「それはたまたま」、失敗すると「やっぱりね~そうなると思った」
④いつも○○
「あいつはいつもそうなんだ」「絶対に成功する分けないよ」
⑤全部自分のせい
「俺が守ってやらなかったから彼女が怪我をしてしまった!」
⑥レッテルを貼る
「あいつ血液型B型だからさ、大雑把なんだよ」
「アニメ好きはみんなオタク」
などなど
※詳しくはこちらを見てください。
https://www.lifehacker.jp/2016/09/160923_cognitivedistortion.html
みなさん気がついたと思いますが、認知の歪みは誰にでもあるのです。
一度染み付いてしまった認知の歪みを変えることはなかなか困難です。
特に周りの環境が幼少期の環境のまま変わらなかったり、いろいろな属性の人とコミュニケーションを取れなかったり、歪んだ人ばかりのコミュニティにいたりすると認知の歪みに気がつきません。
SNSも自分の考えと同じ人たちをフォローするわけですから、歪んだ認知(偏った認知)のコミュニティと言えるのかもしれません。
悪い意味での「類は友を呼ぶ」と言うことです。
そして、歪んだ認知から発生した感情、行動がいろいろなトラブルへと発展していくのです。
感情の処理に問題が・・・
認知の歪みは根拠のない怒りや妬みなどを生みますが、だからといってそれがすべて犯罪には発展しません。
多くの人はこれらの感情を自分でコントロールし、処理することを無意識で行っています。
例えば、会社の文句を同僚とお酒を飲んで発散するとか、運動して発散するとか、仮想空間(ゲーム)の中で相手を殺したりするとか、SNSで愚痴を言うとか・・・
ところが、うまくストレスを発散できない人はそうはいかなくなります。エスカレートするとやっかいです。
認知の歪みによって
「自分は居場所がない、駄目な人間」→「それは親のせいだ社会のせいだ」→「将来も駄目だ」
と言う具合にどんどんネガティブになり、ゆがみ方によってはうつ状態になったり、自殺にいたってしまったり、逆に攻撃性が増し、SNSで誹謗中傷をしたり、いじめ、虐待のように弱いものを攻撃したり、最悪暴力や傷害といった行動に走ってしまうのです。
悪い意味で催眠術にかけられた状態と変わらない状態です。
ここまで行ってしまうと、周りの言うことは耳に入ってきません。
どうすればいい?
社会生活をしているといろいろストレスはたまります。
でもだからといって弱いものにそれをぶつけたり、社会のせいにしても何も変わりません。とはいえ、行動を変えることは根本解決にはなりません。
なぜなら、行動は、認知の歪みから生まれた感情によって引き起こされるからです。
ですので、この「認知の歪み」を変えていくことが根本的な解決方法となります。
①幼少期の教育・しつけ
人格形成期に、考え方の変なクセをつけるようなしつけや教育をしていませんか?
○○しちゃだめ!いい子にならないと駄目!あいつのようにはなるな!とか刷り込んでませんか?
「早くやれ」といってミスったら「何で落ち着いてやらないんだ?」とか反対のことを同時に言ったりしていませんか?
また知らず知らずのうちにレッテルを貼るような言葉を言っていませんか?子供は聞いてます。親の会話を。
子供に完璧を求めていませんか?
子供の希望をどうせ無理だからとか決め付けてませんか?
②認知の歪みを変える
認知の歪みに気づくためには、いろいろな意見を聞ける環境、聞く姿勢が大切になります。
気が合う仲間=同じ認知のゆがみを持ってるコミュニティは居心地がいいですが、広い意見を聞く環境ではありません。こういったコミュニティがいじめや村八分の巣窟になります。
また、一人でばかり考えていると、考え方が狭くなり歪みがひどくなりがちになります。年齢性別国籍問わず、いろいろな環境に接し、お互いを認め合うことが大切です。
余談:ダブルバインド
ダブルバインドとは、同時にまったく正反対の指示をすることです。
「早くやれ」と言ってミスったら「何で落ち着いてやらないんだ?」とか、「わからなかったらなんでも聞きなさい」と言いながら聞くと、「いちいち聞いてくるな」って具合です。いますよね、こういう親、上司。
こういった人が歪んだ認知の人を作り出すのです。
あなたの子供の認知がゆがみます。
職場ではハラスメントになります。最悪訴えられます。やめましょう。
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